声優を目指してる高校生に講義をしていますが、うまいんですよ。パッと聞いて「うーん、これ、どこをダメ出ししようか…」と困ってしまうこともしばしば。でも、仕事として成立するかどうかと言えば、しない、ってハッキリ言える。

彼や彼女たちはまだまだ「繰り返してうまくなっている」から。そりゃあ、何回も繰り返して台本を読めば慣れてくるのが当たり前。演技も固まってくるし、世界観もつかめてくる。

できるようになるまでの時間を短くしなきゃね。もちろん、何をもって完成なのか、ゴールなのか分からないし、完成と呼べるものには永遠にならないかもしれないけど、ある程度のラインは必ずある。プロとして認められる最低ラインのようなもの。それは仕事になっていくための、絶対レベル。

高校生の彼や彼女たちはまだ、そのことは分からない。制作には「時間」という制約があることを。時間が無限であれば納得いくまで仕上げればいい。有限な中で仕上げなければいけないならば、アドバイスをするごとにうまくなっていくような、いわば自分の力を出し切っていない演技はムダでしかない。最初から出しなさいよ、それなら。

ここを押さえておくといいよ、って所は講義で言ってますが、あとは本人が吸収するかどうかだよね。意欲がある人が残っていくのは、どの世界でも一緒かなあ。