教えてもらうだけで満足してちゃいけないよね。やっぱり、それを使って何かをしなきゃね。

いろんな所で声の表現を教えていると「早く何かすればいいのになあ」と思う人がいます。正直「なんでこんな所に来てるの?」と思うことも。ま、ボクも彼や彼女の立場だったら「そんなこと言われても…」と思いますが。

いや、仕事じゃなくてもいいんです。「ひとつの作品を作る」ってことをね、ぜひやっていただきたいと思うのです。授業となると、どうしても「教える」「教えられる」という視点になっちゃうからね。ひとつのモノをみんなで作るために、声の表現っているスキルを身につけているってことを忘れがちになる。

モノを作るための準備を、経験してほしいんです。この仕事は準備の時間の方が多いんですよ。準備して、練習して、発表するっていう流れを経験すると、近視眼的になっていたことに気がつくんです。

教えてもらうことがすべて、という感覚から脱出しないと、仕事で使えるスキルにはならないと思います。原稿読みや声の表現だったら、一年も勉強すれば必要な知識は教わるから、それ以降は自分でどんどん作ってみたり、実践的な練習をしてみたり、発表していけばいいと思います。