2014年のJリーグが始まり、今シーズンもグランパスの実況をすることになりました。

愛知県豊田市のコミュニティFM、ラジオ・ラブィートの「GRAMPUS BEAT」では、グランパスのリーグ戦ホームゲームを完全中継しています。7年めに入った今シーズンですが、そのうちの何試合かをボクが担当します。

開幕ゲームはグランパスの敗戦でした。しかし、前半はリードして終わりました。5分にエスパルスに先制されるも、20分にケネディ選手、36分に闘莉王選手がそれぞれ得点して、逆転しました。

後半、グランパスは守備を崩されました。73分に同点に追いつかれ、80分に逆転を許します。このままタイムアップとなり、2対3と、今シーズンのグランパスは黒星スタートとなりました。

交代しなかったことに違和感

実況してて「あれえ?」と思ったのは、グランパスの西野監督が見せた、70分台の動き。いや、動きというか、監督は動かなかったんです。実況してて「エスパルスに押されてきているな…」と感じ始めていたんだけど、グランパスベンチに選手を交代させる動きは全くありませんでした。その動きを見せたのは80分になろうかというところ。懸命に守っていたグランパスが、とうとう力尽き、逆転されてしまう直前だったのです。

試合終了後、スタッフと「あの交代は遅かったよね」という話になりました。逆転される前、エスパルスに押され始めてきた時に手は打てたはず。ましてや、グランパスはそれまで選手交代を1人もしていなかったんだから、ベンチワークに困ることはなかったはず。何らかのアクションは起こせたんじゃないかなあ。

そこには監督の意図があった…?

でも、ふっと思ったんです。選手の交代も考えられたあの時間、西野監督は「見極めてたんじゃないか」って。

メンバーも変わり、監督も変わったグランパス。新チームになってまだ1ヶ月だと、公式戦でなければ見られないものがあるはず。例えば、公式戦での選手のスタミナの消耗具合とか、どこにスペースが生まれて相手に攻め込まれるのか、など。つまり「疲れてしまうとどうなるのか」ということを経験したかったのではないだろうか、と…。

捨てゲームにしたわけじゃない。選手交代の準備に入っていた時間は同点でした。交代したあとの戦い方を見ても、あれは点を取りに行くためだったことは間違いない。交代の直前に失点してしまったので後手を踏んだように見えるかもしれないけど、勝ちを狙っての積極的な選手交代でした。

意図があった、と思わないと悔しくて!

それでも、交代がボクやスタッフのイメージよりも数分ほど遅かったのは事実。なぜ遅くなったのかを考えていた時に思ったのが、交代を我慢していたんじゃないか、ということ。さらに、疲れが見え始めた時間帯の映像を選手に見せて、修正ポイントを客観的に把握させるつもりなのではないか…とまで考えてしまう。うん、そうだ、そうに違いない! これで次節は修正されるはずだ! よかった…と、前向きに考えなきゃ、逆転したのに相手にまた逆転される、なんて試合を観た悔しさは昇華できませんよ!