阿久比球場で、高校野球東愛知大会の実況。東海南高校と幸田高校は、5対0で東海南高校の勝ち。高校野球の実況をしていて初めて、消える魔球……と言っては失礼だけど、そんなものを見た。

未明に降った雨で、試合を1時間繰り下げることに。午前はまだ黒い雲が浮かんでた。その向こうには、夏を感じる白い雲、青い空。

グラウンド整備をしている阿久比球場

先に点を取ったほうが、有利に試合を進められるね。2回に2点を取った東海南高校、その後もランナーを出すんだけど、追加点がなかなか取れない。

幸田高校は、ランナーを出すことができない。ちょっとしたきっかけで幸田高校に流れが……と思っていた7回、東海南高校が待望の2点タイムリースリーベース。

幸田高校は焦ってしまったのか、8回、ヒットと送りバント、2者連続デッドボールで満塁となったあと、ピッチャーが「消える魔球」。実況していて初めて言った、このフレーズ。「足が上がって、ピッチャー、投げまし……いや、投げません」

投球動作に入って、腕を振ったのに、投げなかったんですね。誰もが一瞬、何事があったのか、と思いましたよ。審判も「今、何があった?」というような感じだったけど、数秒経って、ボークを宣告。3塁ランナーがホームイン。

バッテリーのサイン違いだったみたいです。キャッチャーが大きく外すように、一塁側ベンチ方向に動いた。ピッチャーはそのまま投げるとキャッチャーが捕れない、それどころか、球審にぶつけることになってしまう。

だから、投げなかったんでしょうね。ワイルドピッチになって大量失点になるより、ボークで1点を失った方がまだいい、と思ったんでしょう。あの状況で瞬時の判断をしたピッチャーも冷静だった。

結果、5対0だったけど、どっちが勝ってもおかしくない試合だったなあ。