109シネマズ名古屋で「ブレードランナー2049」を観る。ライアン・ゴズリングがこの役を演じた理由は、その表情にあるかも。

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映画『ブレードランナー2049』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。

引用元:映画『ブレードランナー 2049』 – シネマトゥデイ

2010年代にロボットの演技をすることは難しくなっている

ちょっと前までは、ロボットに人の心が入るなんて思っていなかった。ロボットはあくまでもロボット。しゃべると言っても、いわゆる「ロボット声」で、人間との境界線がはっきりしていた。

ところが、今はそういうことで境界線が引けなくなっている。人工知能がアナウンサーをやってしまう現代、人間とロボットの膳引きが、グラデーションのように細かくなっている。

人間がロボットの演技をするということも難しくなっている。いわゆる「ロボットダンス」のような、カクカクっとした動きで演じてしまうと、逆にリアリティがない。人間らしいけど、ちょっと違和感のある動き。どこでロボットの感じを出すかが、とても難しい。

ライアン・ゴズリングがみせる複雑な表情。それは寂しさが底辺にある

ライアン・ゴズリングは「ナイスガイズ!」というアクション・コメディ映画を観ていても「どこか寂しいなあ」と感じてました。そういう役が似合う。この作品で彼が演じているKも、とことん寂しい。

満たされてないんですよ。例えるなら、バイト中は必要最低限の会話だけして、帰りにコンビニで成人向け雑誌と弁当を買って帰るような感じ。……伝わらないかなあ。

Kがみせる複雑な表情。まるでラジオ番組「伊集院光・深夜の馬鹿力」であったコーナー「顔コレクション・十面鬼」のように、喜怒哀楽のどれでもない、あるいはそれらが微妙に織り混ざったものをみせる。……なんか今回、変な喩えが多いぞ。

そういう表情をみせる彼は、人間なのか、そうでないのか。Kに感情移入して観ていたボクは、最後で何も言えなかった。その時のボクの表情は、Kと同じようにいろんな感情が混じったものだったはず。

人間って、どういうことなのか。ヒトの形をしていれば人間なのか。ヒトの形のような「入れ物」ではなく、中に入っているものがどういうものかが人間であることの証明であるような気がする。

まあ、いろいろ書きましたが、2時間43分、どっぷりとこの世界に浸って、Kの感情とシンクロするのがいいね。観たあとに心が複雑な感じになっているのは久しぶりだ。このテンポは2010年代ではないかもしれないけど、それがいいのだ。