去年はTM NETWORK結成30周年。春と秋にはライブに行ってきました。シングルもアルバムもほぼすべて持っているのに、なぜかライブは未経験。なぜか行きたくなったんですよ。このタイミングで。

TM NETWORKのライブを他のアーティストと同じように観に行くとビックリする。だって、MCがないもの。ま、EXPOツアーの時はMCもあったようだけど、その他は基本、徹底的に計算されたショーのようなつくり。演劇やミュージカルに近いかもしれない。去年初めてTM NETWORKのライブを体験してきて「おお! これがTMのライブか!」と感動したものです。

そういう形のライブの完成形とも言えるのが、CAROLツアー。ひとつの世界観を、アルバム・小説・ライブという形でつくっていったのがリリース当時の1988年では斬新でした。

当時はカセット・LP・CDの3形態で発売されたのも時代を感じます。カセット・CDでの曲順とLPの曲順は違っていたんですよね。それから26年経った2014年にリリースになったのが、CAROL DELUXE EDITION。LPの曲順で収録されている2枚組CDとインストゥルメンタルディスク1枚、さらにライブの模様が収録されたDVDとフォトブックがついてくる豪華版。

当然アルバムは持っているんだけど、今回はインストゥルメンタルディスクがあるんでしょ? さらに、ライブのDVDは2004年にリリースになった「CAROL the LIVE」とは違う編集なんでしょ? そう、こうやってTMの魅力に取りつかれている人は買っちゃうんですよね。

届いたものは、かなり大きい。LP仕様になっている。これだけ大きいと丁寧に扱うようになる。音楽が今よりも丁寧に扱われていたのって、こういうこともあるかもなあ。今じゃダウンロードだもの。物理的重さと価値の大きさは、ある程度比例しているのかも。

CAROL DELUXE EDITION

2枚組のCDを聴く。LPと同じ曲順は、CDの曲順で聴き慣れているボクにとってすごく新鮮。こっちの方がCAROLの世界観に近いよ! やっぱり買ってよかった。あ、iTunesで曲順を入れ替えたプレイリストを作ればいいのか…。でもね、やっぱり曲と曲との間に含まれるものとか、空気感とかは聴いていて違う…ように感じるだけかなあ。

フォトブックには当時のツアーの写真のほかに、当時を振り返ったメンバーのインタビューが載っている。木根尚登さん、宇都宮隆さんときて、小室哲哉さんのものを読んだ時に、ボクの中で1988年と2006年がシンクロし、暗かった視界がぼんやり明るくなってきました。

キーワードは、拡散とメディアミックス。Twitterのようなソーシャルネットワークサービスが普及した今は、拡散やメディアミックスがやりやすくなっている時代。でも、認知されやすくなっているかというと、そんなことはない。

ボクもTwitterができて「これで認知されやすくなった!」と思っていたけど、そこまでの威力はなかった。おもしろい展開になったことはあったけど、この1〜2年はそんなこともなくなってしまった。ウェブから何かが変わるかも、というワクワク感も次第に消えていって、いつの間にかウェブで発信することからはずいぶん遠のいてしまった。

「だから…」と、小室先生はインタビューで答えている。それは一周して元に戻ってきているような感じがしたけど、きっと両輪なんだな。拡散するだけでも、それだけでもダメなんだ。

この数ヶ月モヤモヤが晴れたことはないけど、このインタビューを読んで少し視界が開けたかな。心が折れそうになっていたけど、もうちょっとやってみよう。インタビューにあるように「ホワイトボードの常連」を目指して。