褒めてるつもりでも、相手はそう受け取らないことってあるよね。喜ばれるかと思ったら「ああ…そう…ですか…」と期待していた反応じゃなかったり、ひょっとすると怒り出すこともあるかも。「そこは当たり前に努力するところだ」というところを褒められた時に、人はそんな反応になるんです。

2014年2月16日、午後6時30分過ぎ。日本中がテレビに釘づけになった…。ソチオリンピックの競技があったのではありません。アニメ「サザエさん」の波平さんの声が、この日から茶風林さんに変わったのでした。

満を持して登場! その声に「おおぉ…!」

ボクも観ました。いつ出るのか、いつ出るのか、とちょっとドキドキしましたねえ。そして、一番最初のエピソードのほぼ最後に登場。「これ、作ってる人もちょっと意識してるよね? 登場させるの、最後まで引っ張ったよね?」と思うくらい、茶風林さんが演じる波平さんが、満を持して登場しました。

第一声を聞いた時に「おおぉ…!」と思いました。違和感がない。先代の永井一郎さんのイントネーションを踏襲している。茶風林さん、永井一郎さんの声を相当研究したんだろうな。

「似てる」だけじゃ声優はできない

ボクはこれを「似てる」とは言いたくありません。「違和感がない」くらいに留めます。声優って、声を似せるために仕事をしているわけじゃないからね。そのキャラクターを演じているんだから。そりゃ、今回は誰もがその声をイメージできるくらいの大きなキャラクターで、それをガラッと変えるわけにはいかないからね。イントネーションを合わせることはするでしょう。

でも、ただイントネーションを合わせたらOKなわけじゃない。それだと、お決まりのフレーズは完璧に演じられるかもしれないけど、それ以外のほとんどのセリフを演じることはできない。自分が演じるキャラクターを理解しなければ、無限ともいえるセリフを表現することはできないです。

つまり、ただ真似ているだけでは「ばっかもーん!」と怒る波平さんは演じられても、会社の慰安旅行の余興で女装をした波平さんは演じられないってことです。「あ〜ら、ごぶさた〜! 最近、ち〜っともお店に来てくれないじゃな〜いのぉよ〜」というセリフを波平さんで演じることを求められるのが、声優の仕事です。ところで、ボクはこの例えでいったいどんな波平さんを想像しているのでしょうか。

茶風林さんと一緒に飲めたら聞いてみたいこと

茶風林さん、これからは「似てますね!」って言われることが多いと思うんだけど、それはあんまり褒められてるように取らないだろうなあ。ボクは「もう何年もそこにいるかのように溶けこんでましたね!」と、自分の素直な感想を言います。そして「どんな波平像をイメージされてるんですか?」ということを聞いてみたい。そんな機会があるといいなあ。

でも、やっぱり「名探偵コナン」の目暮警部だと言う人がいるのも分かる。茶風林さんも、キャラクターをいくつも作り上げてきた人だからね。ちなみにボクは「シティーハンター」の名脇役というイメージがあるんですが…少数派意見だろうなあ。