ミッドランドスクエアシネマで「小さいおうち」を観る。怖かった。それは戦争の怖さではなく、人が持っている、嫉妬の怖さ。

山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー!

健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が揺れていることに気付く。

引用元:映画『小さいおうち』 – シネマトゥデイ

戦前はたぶん、こういう感じだ

自分が歴史を感じることができるのって、生活を共にしている人の部分までが精一杯だね。核家族で育たボクは、親の世代の歴史を、話されることから感じ取るまでしかできない。戦後生まれの親なので、戦中、あるいは戦前のことはよく分からない。

歴史を勉強すれば…ということもあるけど、やはりその時代を生きた人が語るものには、活字になった味気ないものを読むのとはイメージが変わる。この作品の若者も、活字からの情報だろうか、実の祖母に向かって「そんなことはないよ」と言う。そのくらい、戦前と戦後は分断されているんだなあ。

激しくはないけど…これ、怖いよ!

で、戦争に向かっていく悲惨な話なのかなあ…と思って観てたら、そんなことはなかった。もちろん、その時代を描くので戦争のことは外せないし、それから起こる悲しいこともあるんだけど、それよりも、これは愛の話だね。しかも、ちょっとドロドロした感じの。

全部観終わって、ちょっと怖かった。スクリーンからうっすらと感じる嫉妬の念。そして、その後の思いを何十年も背負っていかなければいけなくなった苦しみ。

「永遠の0」のような戦争映画ではなく、これはひとりの人間を描いた作品だ。女性って、怖い。