TOHOシネマズ名古屋ベイシティで「帰ってきたヒトラー」を観る。この作品の出演者のひとりは、スクリーンのこちら側にいるボクたちだ。世界の一部が、この作品に表れている。

「帰ってきたヒトラー」サイトトップページ

映画『帰ってきたヒトラー』公式サイト

ナチス・ドイツを率いて世界を震撼(しんかん)させた独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が、現代によみがえる。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。

引用元:映画『帰ってきたヒトラー』 – シネマトゥデイ

リアルとフェイクが混ざった、不思議な作品

この作品がすごいのは、観ているとフェイクだかリアルだか分からなくなってくるところ。ある手法を使っているからなんだけど。

ヒトラーの「役」ではあるんだけど、その作り込みは半端でない。そりゃそうだ。あの手法を使うなら、中途半端な作り込みじゃ成功しない。

リアルに近づけようとする熱が、大衆を巻き込んでいく熱になる。これは、すごいよ。ある意味、命がけ。

これは、フェイク。はたして、リアルでは…

それはまさに、当時の空気を再現している。21世紀にヒトラーが生まれたら、まさにこんな感じになっていくのだろう。

スクリーンの中の人を笑えない。こちらもその催眠術のようなものにかかってしまうのだから。正しいことを見抜く、なんて言葉は簡単に言えないよ。

世界はまた、あの時代のことを繰り返すのだろうか。この作品がドイツで公開されたのは2015年、その時よりも時代は、あの時代に近づいているのかも。

こういう人が生まれることを、阻止できるか? 頭で思うのは簡単、でも実際はどうだろう。自分は阻止できるかどうか、この作品を観てみるといい。少しでも彼に感情移入してしまったら、あなたもきっと、ボクと同じだ。

サッカー選手に例えたら、こんなタイプ

相手を惑わすテクニシャン。その技で中盤を支配し、前線に確実にパスを通す。