TOHOシネマズ東浦で「万引き家族」を観る。普通の形には感じない「家族」を成立させているのは、役者陣だ。

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是枝裕和監督 最新作『万引き家族』公式サイト

治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。

引用元:万引き家族 (2018) – シネマトゥデイ

この俳優陣だから生まれた、あの「家族」の空気感

リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、そして松岡茉優……。この人たちが演じたからこそ、いわゆる「家族」になったと思った。

だって「家族」ぐるみで万引きしてるんだよ! 社会的におかしいのに、開始数分で、この「家族」はあったかいなあ、って思ったんだもの。

演じた人たちが持っている、どことなく普通でない感じがあるから、この「家族」が成立しているかもしれない。家庭の雰囲気が出る人が演じたら、ここまでのものになっていたかどうか。

あの人があの役で出たことで浮かんだメッセージ

俳優、といえば、ストーリーの終盤で出てくる、ある人。この人が出てきたことで、その後の展開が、そしてこの作品全体のメッセージがボクには浮かんできた。

それは、その人が演じてきた役の印象が強いのかもしれないけどね。その人がその役で出てきたことで、ボクはホッとした。この作品は、絶対変な方向にいかない、と。

まあ「その人」「その役」なんて言うのは、まるでハリー・ポッターの作品のようですが。

この「家族」の方が普通にみえたよ

この「家族」が普通にみえて、普通の家族が、逆に変にみえました。ボクが家族と感じるものがなんなのかを確認した。お互いの愛情だ。言葉にすると陳腐だけど。

あるはずの愛情が、家族にはなく、「家族」にはあった。だから、ボクにはこの「家族」をみて、いいなあ……と思ったんだ。

今までの家族という形が溶けていって、新しいものが生まれつつある社会の空気を感じる。それでも根強くある、家族という形。日本では家族の形がなければ、社会は成り立たない。

家族はいらない、とは言わない。でも、こういう「家族」の形も許容されてもいいんじゃないか、って思った。