伏見のミリオン座で「危険なメソッド」を観る。心理学者のユング・フロイト、そしてユングの被験者だった女性…。心を観る、が仕事の人たちだけに、全編通して心の読み合いのような緊張感を感じた。

映画『危険なメソッド A Dangerous Method』公式サイト

1904年、若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は高名な精神分析医フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する画期的な治療法を、新しく受け持った患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に実践する。そしてユングは彼女が抱えるトラウマの原因を突き止めるが、二人は医師と患者の一線を越え禁断の関係に。やがてザビーナの存在は、ユングとフロイトとの関係に確執をもたらしていき……。

引用元:映画『危険なメソッド』 – シネマトゥデイ

相手に寄り添うことが仕事だと、いつかは愛情に変わることもあるかもしれない。さて、それをよしとするか、絶対にダメ、とするか、あなたはどっちでしょうか?

心理学を学べば、心をコントロールすることができてモテモテだ!っていう人もいるけど、実際はそんな感じでもないなあ、と思ったのはユングがザビーナを治療しているシーン。本人も分からない心の憶測にしまってあったものは、決してきれいで素敵な思い出ではない。

そして、そういうことを仕事にしている夫がいるのは、妻としては落ち着かないでしょう。自分が隠している考えも夫には分かってるんじゃないか、と疑心暗鬼になるだろうなあ。そこから溝が生まれていったのかも。ユングがあの治療法を始めた時から、夫婦の関係がゆっくり壊れていったんじゃないのかなあ。

そう考えると、人の心を読む、なんていうのは失うものが多いんじゃないかって思います。今はガイドラインのようなものが出来ているだろうけど、何しろフロイトやユングの前に、こういうことをしていた人はいないと言ってもいいだろうからね。すべてが手探りだっただろうし。

ザビーナのユングへの愛は、果たして本物だったのか。自分のことを見てくれる嬉しさを愛情だと勘違いしていなかったのか。それがどうしても引っかかった。映画本編の時間の流れがもうちょっとゆったりしていたら、ちょっと違って受け取ることができたかな。