先日の「サラリーマンNEO」の「去り際」というコントが、頭から離れません。30年間休まず一生懸命勤め上げた会社からクビを告げられたサラリーマンが、家族を連れて上司の前に現れるというストーリーでした。内村光良演じるサラリーマンが、淡々と、しかし力強く家族に言います。

「タカシ、よーく見ておきなさい。この人のせいでお前が猛勉強して入った高校を辞めて、働かなければいけなくなったのです」
「チカコ、よーく見ておきなさい。この人のせいで買ったばかりの家を売り払わなければいけなくなったのです」

そして、直接クビを切った部長に家族の矛先が向いたとき、サラリーマンであった父親は家族に言い聞かせます。しかし、それは上司への恨み節です。

「部長の家族に非はない! 罪はない。ご家族には幸せでいてもらおう。もう、二度と手に入れることのできない、幸せな家族でいてもらおう!」
「あれが嘘をついている人間の顔だ。あれが、人をゴミのように簡単に捨ててしまうことのできる人間の顔だ。みんな…目に焼きつけとけっ!」

一時期、リストラといえば人員整理という意味に取られるくらい、企業から正社員がいなくなっていきました。足りなくなった部分を派遣やパートが埋めていたと思うんですが、その時代も過ぎて新入社員を雇用する体力が企業にできてくると、今度は派遣やパートの人員整理がはじまるのかもしれません。「一人の社員を大事にするために、われわれは一斉にクビか!」という声があがってくるのかもしれません。その時は、こんなふうに上司に恨み節を言えることもないんでしょうね。だって、そもそもの雇用形態が違いますから。スポーツ選手が契約を解雇されるのと同じです。

あのコントを見て、そんなことを考えて、なんか悲しくなってきて…。涙がこぼれそうになって、まずい! と、意識をそらすために宮崎美子と原史奈の胸を見ていたのでありました…。