大塚明夫さんの「声優魂」は「声優になるのはおやめなさい」と、全力で引き止めている本。センスと覚悟がないのに声優を目指してはいけない。いや、声優は目指さない方がいい。


声優魂 (星海社新書)

声優になるのをすすめていない本

今、声優を目指している人って多いんですよね。専門学校にも生徒がどんどん入学してる。その数は年々多くなってるんじゃないかなあ。

これだけ人数が多いなら仕事なんて回ってこないんじゃないか、って考える方が正常。この本には「300脚の椅子を常に10000人以上が奪い合っている状態」って書かれてた。仕事を得られるのはほんのひと握りだ。

努力すればなんとかなる…って考えている人も、甘い。大塚さんはセンスがない人は「何を教えてもできない」と、たたき斬っている。さらに、「仕事が来ないのは下手だから」とバッサリ。専門学校の先生や事務所のマネージャーがなんとかしてくれるような世界ではないのだ。

「じゃ、どういう人が声優に向いてるの?」って聞かれても、困る。大塚さん、本当に声優をすすめていないから。声優なんかになるんじゃないと、本気で語っているんです。

大塚明夫写真集 「あの頃」

そんな世界にしかいられない人がいる

それでも、ほんのちょっとだけ「声優を選んでも構わない人」のことが書かれています。「声優になるのは職業の選択ではなく、生き方の選択だ」と。芸事に対して就職のような気持ちで入っていくと、いずれ痛い目に遭う。

声優になるに覚悟がいる。それはまっとうな社会からドロップアウトするくらいの覚悟が必要なのだ。今、専門学校に通っている人たちに、その覚悟があるのかどうか…。