ラジオパーソナリティーになりたい人って、まだ多いんでしょうか。

専門学校で教えていた時にはもう、そういう人は少なくなっていましたが。ラジオ業界に入りたい人を教えたのがギリギリ間に合ったかなあ、というタイミングでした。

若い人が聞くラジオのイメージが、パーソナリティーのものから声優のものになったかなあ、という変化も感じました。それはまあ、ボクが声優コースのある高校に教えにいったからでしょうが。

そこから離れて何年も経ちますので、今の状況は分かりません。ラジオでしゃべりたいって人は、どのくらいいるんでしょうね。

ボクは市民パーソナリティーとラジオパーソナリティーには、明確な線を引いてましてね。市民パーソナリティーについては、地元のコミュニティFM局で、地元のことをしゃべる人だと思ってる。

トークにはエリアの地名やお店がバンバン出るし、方言やアクセントだって、標準語をしゃべる必要はない。だって、その地元をエリアにしているんだもん。地元の人が分かる、親しみやすい方言やアクセントを使うべきだって思ってます。

市民パーソナリティーとラジオパーソナリティーは、似て非なるもの。市民パーソナリティーは地元を対象にしていればいいけど、ラジオパーソナリティーは一気に対象が広がる。県域かもしれないし、全国かもしれない。当然話す内容も変わる。方言やアクセントも意識しなきゃならない。

そして、ラジオパーソナリティーになりたいんだったら、生活を変えるくらいの意気込みがなきゃ始まらない。

ラジオって怖いのは、裸になっちゃうんですよ。スタジオに入る前に、全部脱ぎますからね、服を。葉っぱ一枚も、着けてない。

…あ、最近バンドじゃないもん! がはっぱ隊の曲、カバーしたんですね。

YATTA! – バンドじゃないもん!

話が大きくそれました。ラジオって、しゃべっている人の性格をまる裸にしちゃうんです。声から、息づかいから、間の取り方から、その人がどんな人なのか分かっちゃう、怖いメディア。

ラジオから流れてくる声を聞いて、共感されたり、反感をもたれたり。リスナーの心に入っていくためには、なにか魅力がなきゃ難しい。

そこをどれだけ磨くか、です。ただしゃべるだけじゃなくて、どうやって相手の心を揺さぶるか。それがラジオパーソナリティーが磨かなきゃいけない技だと思います。

講座をまた頼まれちゃったけど、果たしてどのあたりのレベルに設定するべきか。本当に覚悟があるなら、こっちもかなり厳しくいくんだけどなあ。

たぶん「こんにちは」の第一声から「違う! やり直し!」って、何度もさせるくらい。「『こんにちは』なめんな! リスナーに本気で言わなきゃ、見透かされるぞ!」ってかんじで、徹底的に聞いている人を意識させる。

そして、机の下で蹴ったり、マイクで殴ったりするという、行きすぎた指導をしたりして。…たぶんこういう、ラジオ界を知っている人が分かる冗談は、時代が経つとそのことが風化しちゃってるから、冗談に聞こえなくなるだろうね。