NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のテーマ曲が東京都議選の選挙カーで流されていることについて、ボクは「著作権法」としては問題ないと思いますが「著作権」としては問題だと思います。

「あまちゃん」の曲流す選挙カー相次ぎ、作曲者が抗議 東京都議選+(1/2ページ) – MSN産経ニュース

大友さんのこのツイートを読んで「自分が知らないところで政治活動に使われた」という怒りを感じました。そのドラマのために作ったものが全然別の目的で使われるのは、作った人にとっては本意ではないはずです。

ものを作る人が怒ったり、気持ち悪いなあと思うことのひとつに、自分が作ったものが全然知らないところで使われている、ってことがあります。大友さんのこととは次元が違いますが、ボクにもあるんですよ。

テレビショッピングで商品の紹介をやった時のことです。全国各地で何回も繰り返し放送されることは覚悟していたんですが、知り合いから「見ましたよ、あのショッピング。ホームセンターで」と言われた時は戸惑いました。「えっ…ホームセンター…で?」って思わず言ったはずです。

ホームセンターに商品が置かれた時に小型のモニターも置いて、そこにボクがやったショッピングを繰り返し流してたんでしょうね、おそらく。自分が想像していたのとは違う使われ方をされて、気持ち悪かったんです。

その時に思ったのは「ひとこと言ってよね」でした。そのぶんのギャラをくれ、ということも思いましたが、それよりも「どこで使われているか分からない」という気持ち悪さの方が勝ちました。

ボクよりもクリエイティブな仕事をしている方だったら、この気持ちはもっと強いはず。自分が意図していない使い方をされることを拒否する権利が「著作権」で、それを法律にしたものが「著作権法」と考えると、ボクはスッキリしました。

今回のことは、営利目的ではないので「著作権法」としては問題ない。ただ、「著作権」としては、お伺いを立てていないので問題だと思います。でも、お伺いを立てても大友さんは認めないでしょうけどね。

あなたが作ったものを使いたい、と言われたらまずは嬉しいはず。その上で、対価として使用料が発生したり、その使い方はちょっと困る…と拒否される、ということになるんじゃないでしょうか。営利目的ではないので無許可でも…と思うのはあまりよくないことだなあと反省しました。使いたい気持ちは、その人にきちんと伝えないと。

ボクは定期的に朗読をしていますが、その題材は著作権が切れたものを選んでいます。でも、最近はちょっと考えが変わってきて、今のものを読みたい、って気持ちになってきているんです。権利をクリアするのがめんどくさいなあ…と思っていたんですが「これをぜひ読みたいんです」という気持ちを伝えることからスタートするんですね。ボクの考えが間違っていたなあ。