仕事をやってくれる人がいないか頼まれました。できそうな人の顔が浮かんだんですが、ここで気づいたんですよ。「あれ、これじゃ下の世代に仕事は回らないな」って。

顔が浮かぶのはいっしょに仕事をさせていただいたことのある人ばかり。キャリアの浅い人の顔は全然浮かばない。そりゃそうだ、どんな仕事をするのかわからないんだから。

なので、キャリアのある人にどうしても集まってしまう。そういう人は力もあるから、きちんとこなす。そして、もっと適任だったかもしれないキャリアのない人は、チャンスを逃すのです。

相手の頭の中のカタログに入るかどうかが、仕事をもらうポイントのひとつなんだよね。そのためにするのが、自己アピールだったり、プロフィールをまとめたりするんです。

そういう機会も、オーディションの場面だけではなくて、普段の状況でずいぶん転がってる。雑談の中から「この人はこんな風に考えているのか、こんなことができるのか」と、相手の頭の中のカタログに入れられるってこと、あります。

自己アピール、とか、セルフブランディング、とか、ニュースレター、とか、メールマガジン、とか、硬く言えばいろいろあるけど、そんなことより「上司との雑談」っていうのが一番有効だと思う。不特定多数よりも、直近の人にアピールした方が早い。だって、不特定多数の人がキャリアのない人を気にかけるとは思わないから。

なので、事務所の新人さんには必ず「怖いかもしれないけど、ドアを開けて顔を出して、マネージャーに顔を覚えてもらってね。でないと、覚えてもらえないから」って言ってます。籍を置いておけば仕事が来るってほど、この世界は甘くない。