剣豪は刀を合わせた瞬間に「こいつ…できる!」と判断するようですが、声のプロは電話で声を聞いた瞬間に「こいつ…できる!」と思うとか思わないとか。ボクが出前を取ろうとして電話したコールセンターの男性が「こいつ…できる!」でした。まるでラジオショッピングを聞いているかのよう。

ここまで電話で聞き取りやすいのは、生まれて初めて。声は通るし、滑舌はいいし、立てるべきところはちゃんと立ててるし。「それではご注文の方を、わったっくっしの方から、確認させていただきますっ!」と、「わたくし」をゆっくり力強く話す。こいつ…できる!

ちょっと演技っぽく聞こえました。演劇をやってる人だったのかな。コールセンターでの研修だけじゃ、あそこまで声は出ないし、滑舌はよくならないだろうし。その隙のない声に、ちょっとひるみました。

ボクもきっと、フルパワーを出したらあんな感じになるんだろうな。隙のない感じと言うか「いやいや、そんなにテンション上げなくていいから」みたいな。声の訓練を積めば積むほど、実生活ではあまり聞かないような声になってしまうのはしょうがないか。

今度どこかでやってみようか。携帯ショップで機種変更する時に「すいませんっ! 機種変更をお願いしたいんですがっ! …あ、この番号札を取るんですねっ! 分かりましたっ! よろしくお願いしますっ!」文字にしただけでも、うっとうしい。

そんなに大声にならなければいいのかな。ショップの人をそういう意味で困らせてみようか。「なに…このオーラ…? 怒られてないのに圧倒されてる、この感じ…?」どっちにしろ、迷惑だろうな。