ピカデリーで「苦役列車」を観る。主人公の貫多にしてみたら、自分は変わっていないのに周りがどんどん変わっていくという寂しさもあったんじゃないかなあ。ボクが観てて「こいつ、めんどくさい奴だな」と思ったセリフ言う気持ちって、そんな寂しさもあったかもしれない。

苦役列車 オフィシャルサイト 7.14(土)全国ロードショー

1986年。19歳の北町貫多(森山未來)は、明日のない暮らしを送っていた。日雇い労働生活、なけなしの金はすぐに酒に消えてしまい、家賃の滞納はかさむばかり。いよいよ大家の眉毛もつり上がり、払うか、部屋を出るかの瀬戸際まで追いこまれていた。そんな貫多が職場で新入りの専門学生、日下部正二(高良健吾)と知り合う。中学卒業後は、ひたすら他人を避け、ひとりぼっちで過ごし、ただただ読書に没頭してきた貫多にとって日下部は、初めて「友達」と呼べるかもしれない存在になる。貫多には、かつてから恋い焦がれる女の子がいた。行きつけの古本屋で店番をしている桜井康子(前田敦子)。読書好きの康子は、貫多にとってまさに理想の存在。彼女への思いを日下部に話すと、適度に世慣れた日下部はうまく仲介して、晴れて貫多は康子と「友達」になる。でも「友達」って、何だろう――貫多は、自分の人生に突然降ってきた新しい出逢いに戸惑いながらも、19歳の男の子らしい日々を送るが・・・・・・。

引用元:苦役列車 オフィシャルサイト 7.14(土)全国ロードショー

貫多は自分の生活を変えることなく、その日暮らしの生活を続ける。ま、それは決してカッコイイものとか、美学とかというものではなく、人生を半ば諦めてるからなんだけど。たまには夢を語るけど「そんなこと言ってもどうせ変わりっこないよ」と思ってるんだろうな。

だけど、周りの人の生活は変わっていく。貫多はそれに耐えられない部分もあったんじゃないかなあ。「今、なんとかやってるじゃない。これでいいじゃない」って思ってたのかも。

ま、ちょっと貫多の肩を持ってみたけど、友達の側からすれば「いやいやいや、だって、貫多はめんどくさいし」ってことなんだよね。そんなめんどくさい人間なのに、観ていて嫌いになれないのは、ボクにもきっとそんな一面があるからかもしれないなあ。

貫多を演じた森山未來さんは、動作のひとつひとつで貫多を表現していた。酒・タバコ・風俗・そして食事の仕方。それがなければ、貫多がこんなに「めんどくさいけど、憎めない奴」っていう魅力を持った人物になってなかったと思うな。キャラクターとは関係ないけど、ラストシーンの裸の背中、ちょっと見たことない背筋だった。