ボクはその日暮らしの生活をしています。数ヶ月先のことなんて分からないし、考えられない。

小川さやかさんが書いた「『その日暮らし』の人類学(光文社新書)」を見つけて、よし、このその日暮らし生活をさらに極めてやるぞと思い、買って読みました。


「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)

タンザニアの人たちは、その日暮らし。商売も長期的な目標はないように感じる。衣料を仕入れに行ったのに携帯電話を仕入れて帰ってきた、というくらい、行き当たりばったり。

いろんな職業をいくつも渡り歩く人生。日本の就職活動なら、職歴の欄にいくつ並ぶんだろう。「こんなに転職を繰り返して、なんか問題あるんじゃないか」と思われてしまいそう。

転職市場が広がったとはいえ、日本では職を渡り歩いている人は歓迎されない。会社の将来に不安を感じながらも、転職することへの不安の方が大きくて一歩を踏み出せない。

タンザニアは世界から見ると、成長率が低い国。未来よりも今をどう暮らすか、という社会。だからその日暮らしになるのだ。

この本には、タンザニアの人たちの暮らしぶりが書かれているけど、それはとてもパワフル。生きるために動かざるを得ないだけなのに、ボクにはとても行動力があるように見える。

その日暮らしのボクは、今日も終わった、明日は何をしよう、明日は生きられるかな、というふうに、今を生きることに向き合わざるを得ないんだけど、ほとんどの人はどうなのかな。

ひと月はとりあえず暮らしていける、となると、今を生きている実感よりも「忙しいのになんでこんなに毎日が充実してないんだろう」という気持ちが生まれてくるのかな。

将来への安心を得るために働くんだけど、あまり過剰になり過ぎると今を生きるためのパワーやコストが減ってしまう。未来が明るければ、貯めてあるお金もちょっとは使うだろうし。

ボクは過去への未練があまりないんですが、それはひょっとして、その日暮らしだからかもしれない。未来が今のように続かないから、今を生きることにパワーを使う。それが「やり切った」という満足を生んでいるんだろうな。

その日暮らしを極めるっていうのは無理だってことが分かった。毎日を懸命に生きることが、その日暮らしなのだから。