シネマスコーレで「デッドエンドの思い出」を観る。ひとつひとつが魅力的で、ユミと同じように、忘れられない作品になりました。

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映画『デッドエンドの思い出』

もうすぐ30歳になるユミ(スヨン)は、仕事で名古屋へ発ってしまった婚約者のテギュとの将来が気がかりだった。彼女はふと思い立って彼に会いに韓国から名古屋に行くが、テギュのアパートでユミが目にしたのは見ず知らずの女性だった。ショックを受けたユミは、なじみのない街をあてどなくさまよった後、西山(田中俊介)がオーナーを務める古民家カフェに足を踏み入れる。

引用元:デッドエンドの思い出 (2018) – シネマトゥデイ

2本の作品を観ているようだった。スヨンさんの言葉の扱いが巧み過ぎて。韓国語をしゃべっている時は韓国の作品、日本語の時は日本の作品。

日本語をしゃべってお金をいただいている身であるし、アナウンサー志望の人にアナウンスを教えていたこともあるボクの耳からしても、スヨンさんの日本語のセリフ、イントネーションに違和感がほとんどない。だから、ユミが韓国語をしゃべっている時に「おおっと……そうだった、韓国の人だった」って思ったよ。

スヨンさんのインタビューを観ていたら、日本語を流暢に話してしまったことが計算ミスだったかな……って言ってたけど。

ボクにはユミと西山の心の距離が縮まっているな、って感じたよ。自然体のユミ、って感じがした。

ユミの心の状態に合わせて作られるカット。サイズ感や光の入り具合のひとつひとつが、言葉ではない説明になっている。

いつの間にか、ユミを観るようになっていきましてね。観終わって、ユミが名古屋に来たのは、結果としていい思い出になったんだな、よかったな、って思いました。

そう、この作品、名古屋で撮影されたんです。ボクの知っている風景がいっぱい出てくる。それって、ある意味ノイズになるんですよね。現実のその空気感を知っちゃってるから。今回も「あそこ知ってる!」って思いながら観てました。

だから、いつの間にかユミを観ていたっていうのは、カットのひとつひとつが魅力的で、ボクの中のノイズが消えていったってことなんだろうね。

あ、そういう意味では貴重な作品になっていて、ユミが名古屋に来た時の風景、あれ、もうないですからね。それに関連して映っているあのビル、いずれなくなりますからね。

名古屋に住んでいる身としては、何十年か経った時に「懐かしの名古屋」が映っているという貴重な作品になってるなあ、とも思ったのです。