愛知県美術館の企画展「マックス・エルンスト ―フィギュア×スケープ」を観る。彼の多彩な技法に感心しながら、シュルレアリスムの世界に脳がぐらりと揺らいだ感覚を味わいました。

マックス・エルンストはシュルレアリスムを代表する画家。作り手のコントロールが効かない、無意識の領域を表現するので、何を描いているんだろう、と読み取るにはボクは時間がかかる。

ただ、その技法についての解説はおもしろかった。物の上に紙を置いてこすり出す「フロッタージュ」それを油彩画でも取り組んだ「グラッタージュ」絵具を乗せた画面の上に紙やガラスを押しつけ、それをはがす「デカルコマニー」空き缶の底に小さな穴を開け、塗料を入れてキャンバスで振り回す「オシレーション」カタログや雑誌から切り抜いたものを組み合わせる「コラージュ」。これらをひと通り覚えてから展示作品を観ると、いろんなところにこれらの技法が使われていることに気づく。

オシレーションの上に絵を描くことで、画面上には見えないもうひとつの空間を作り出していたり、コラージュで生み出される画面は、どこかこの世のものではない気持ち悪さをうみだしていたり。いろんな作品を観ている中、一瞬だけ脳がぐらりと揺らいだ感覚があった。違う世界への扉が一瞬開いた感じ。

コラージュを観ている時の気持ち悪さ、何かに似てるなあ…と思ったら、モンティ・パイソンだ。コントの合間にあるコラージュアニメが、現実のようでそうでない世界を作ってるんだろうなあ。

エルンストのコラージュ作品は「慈善週間または七大元素 (河出文庫)」で観ることができます。また、エルンストの作品ではありませんが、フロッタージュやコラージュを使った絵本に「ドングリトプスとマックロサウルス」という本があります。どちらもミュージアムショップで売ってました。

観ているものとは違う世界が、もうひとつ現れる。それがマックス・エルンストの世界であり、シュルレアリスムの世界なのかな。誰かに解説を受けながら観ていくと、もっとよく分かるかもしれない。