「ほぼ日刊イトイ新聞」には、糸井重里さんが毎日
書いてる「サイシン」というコンテンツがあるんですが、
きょうの冒頭を読んで、脳内がズババババーン! でした。
バロム1でも水木一郎でもありません。雷に打たれたような
衝撃があったんです(じゃ、最初からそう書けよ)。

中華料理店のメニューを、ただそのまま読んでいるだけで、
聴いている人に涙を流させるということが、
あるんだそうです。
これは、いわば演技の技術です。
餃子350円、ラーメン500円、もやしそば650円、
チャーシューメン850円‥‥というふうなテキストを、
観客を泣かせるように読むということは、
「どれだけ心をこめて読んだか?」などという
精神論の問題じゃなく、技術の問題だと思うんですね。
テキストに、人を泣かせるような意味はまったくない。
ということは、意味を伝えて感情を揺さぶるんじゃない。

読むときに、気持ちが先か、技術が先か、ということで
ずーっと悩んでたんです。「自分の気持ちを的確に表現する
ための技術は間違いなくある」ということを再確認しました。
自分が感じることは、もちろん大事。それを表現するための
技術がなければ伝わらないですね。

技術だって、アクセントも大事なら、鼻濁音や母音の
無声化だって大事。滑舌も、ね。でも、そうではない
技術も磨かないと、聴いてる人が涙するなんて、とうてい
無理な話。そこを忘れていると、求められているものを
提供することは、いつまでたってもできないと思います。
…こんなこと、気づいてる人はとっくにやってるんだろう
なあ。相変わらず、ボクは気づくのが遅いことも再確認。