「3本」を「さん『ぼ』ん」と読むのは、「ほ」の直前が「ん」だからです…という説明をしました。

なぜ「いっ『ぽ』ん」「に『ほ』ん」「さん『ぼ』ん」なのか

ところが「4本」は「よん『ほ』ん」なんですよね。「ん」の後ろの音は濁るんじゃないのかい?

しばらく考えました。たぶんこれは「ん」の音が違うからです。

「ん」の音は3種類

「ん」には3種類の音があります。[m]と[n]と[ŋ]。唇を開いて発音するか、閉じて発音するか、より鼻から音が抜けるか。

「3本」が「さんぼん」なのは、「ん」の直前の母音が[a]であり、また「4本」が「よんほん」なのは、「ん」の直前の母音が[o]だからだと考えています。

直前の母音が影響していた

[a]は喉が開く音。「あ」を発音するとわかりますね。これだけ喉が開くと「ん」を発音するには唇を閉じさるをえない。そして、閉じた唇から「ほ」を発音することはできないので、濁音になるのです。

対して、[o]は喉が開かない。だから「ん」を発音するには唇を閉じる必要はない。そして、唇を閉じていないので「ほ」を発音することができるのです。

つまり「3本」は「sambon」で、「4本」は「yonhon」。同じ「ん」でも音が違うことで、濁音になったりならなかったりするのです。

「さんほん」の「ん」は日本語の発音ではない?

最近「3本」を「さんほん」って言ってる人もいますが、この時の「ん」は日本語の発音ではない、というのがボクの結論。[m]でも[n]でも[ŋ]でもなく、喉の奥で声を止めている感じ。日本語をネイティヴにしている人だと「ん」の音を補完して聞いちゃうんだろうね。

日本語の発音教室―理論と練習