伏見ミリオン座で「薄氷の殺人」を観る。一瞬でつかまれ、そのまま。次になにか起こるんじゃないかって、ドキドキしながら観てました。そのドキドキはサスペンス映画というよりも、ホラー映画に近かったなあ。

『薄氷の殺人』1月10日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

中国・華北地方で切断された死体の断片が次々に発見され、刑事ジャン(リャオ・ファン)が捜査に当たるが、容疑者の兄弟が逮捕時に射殺されたため詳細は誰にもわからなくなってしまう。5年後、しがない警備員となっていたジャンは以前の事件と手口が類似した猟奇殺人が発生したことを知り、独自に調査を開始。やがて、被害者たちはいずれもウー(グイ・ルンメイ)という未亡人と近しい関係だったことを突き止めるが……。

引用元:映画『薄氷の殺人』 – シネマトゥデイ

ジャンが警備員になったきっかけのシーンが、見事な演出でねえ…。最初は「なんでこんなにダルいシーンが延々続いているんだろう?」なんて思ってたんだけど、あることが起こって一変する。…あ、その「あること」が起こってからの一瞬の間が、とてもリアルで! みんなが「ん?」ってなってる感じがよかったなあ。

もう、このシーンが観られただけでボクは満足です! なので、このあとのシーンはすべてドキドキして観るようになったもん。なんか起こるんじゃないか、って。完全にこの世界に捕まってしまった。

ストーリーは、ちょっとせつない話。真相が分かった時は「なるほど、そうなのか…」という感じだった。「そうなのか!」じゃなくて「そうなのか…」ね。霧がパーッと晴れる感じではなく、むしろまだ霧がかかっているような。重いんだよね、空気が。それがこの作品の色なんだけど。

この先どうなるんだ? とドキドキしながらスクリーンを見つめ、真相が分かってもなんとなく残る、重い感じ。こういうタイプの作品で思い出したのは、3年前に観た「哀しき獣」だ。あの作品、もう一回観たいと思っててそのままになってるなあ。