お金がなくて時間があったから、それを全部労働時間に充てたことがあったんですよ。休みをなくして何十日も仕事してたんです。やってる自分も強い体と心を持ってるなあと思って「鋼の連勤術師だ!」なんて冗談を言ってたんですけどね。

そうしたらね、やっぱり疲れたんです。体の方は大丈夫でした。きちんと寝ることと食べることを心がけてたんで。だけど、心の方がちょっと…。時間を全部捧げたら、やりたいことが全然できなくなっちゃった。それがボクにとってストレスだったんです。

お金が欲しけりゃ自分の時間を売ればいい、と思ってたんだけど、本当に売らなきゃいけなかったのは自分の価値でした。時間に自分の価値をつけたものでお金を得ないと、なかなか貯まらない。自分に価値をつけるのって、ホント大切だなあって思いました。

資本主義社会で生きていくためには、お金をどうやって得るかが最大目的。でも、お金を介さずに、自分の価値を誰かのものと交換できたらどうだろう。「『お金』って、何だろう?」って本を読んでたら、そんなことを想像してました。

信頼している人同士で経済を回せば、困ったときにはお互いに助けられる。これはいいシステムだ…と思ったんだけど、信頼している人だけでやっていると、だんだん規模が小さくなってしまいそうだ。どこかの集団と経済活動をしなければいけない、そのためには共通言語のようなものが必要…って、それがお金なんじゃないか! お金なしで経済を回すってのは難しいなあ。

じゃ、物々交換はどうだろう。ボクの価値とあなたの価値を、交換する。例えば…「お子さんをお持ちのお母さん、家事をしている間、ボクがお子さんに物語を読んであげましょう。その代わり、お母さんが作ったとびっきりおいしいカレーライスを、ボクにごちそうしてくださいな」とか。物語一本がカレーひと皿になれば、食うには困らないぞ。

あるいは「お金持ちのおじさん、ボクが物語を読んであげましょう。その代わり、とびっきりおいしいごちそうを、ボクに食べさせてくださいな」とか。お金をたくさん持ってる人だったら、意外と乗ってくれるかもしれないぞ。お金同士の交換じゃなくて、お金と技術の交換だ。

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資本主義社会を維持するためには、どんどんお金を回さないといけない。最近は世界にあふれるお金が膨大になりすぎちゃってる。別の評価軸として、物々交換っていうものが少しあってもいいかもしれないね。

一週間という時間をほぼ全部売ってたら、疲れちゃった。自分の価値をより高めて売るとか、お金でないものを得るような動きをするとか、そんなことをやっていこう。時給で働くバイトさんやパートさんは、とてもしんどいことをしているのかもしれないな。…ま、ボクみたいに持ってる時間のほぼ全部売りなんて、誰もしないだろうけどね。バランスは大事だ。