センチュリーシネマで「勝手にふるえてろ」を観る。女の子の頭の中は忙しい。リアルとの折り合いをつけることで、ひとつ成長する。大事だったものをひとつ、捨てながら。
初恋相手のイチを忘れられない24歳の会社員ヨシカ(松岡茉優)は、ある日職場の同期のニから交際を申し込まれる。人生初の告白に舞い上がるも、暑苦しいニとの関係に気乗りしないヨシカは、同窓会を計画し片思いの相手イチと再会。脳内の片思いと、現実の恋愛とのはざまで悩むヨシカは……。
とにもかくにも、タカハシさん
これだけは最初に言っておこう。同じ会社のタカハシさんって、テレビ番組「タモリ倶楽部」のコーナー「空耳アワー」の常連、高橋力さんをベースにしてるだろ!
そして、あれだけのケンカをしているのに、喉から手が出るほど欲しがるヨシカの気持ちも分かる。その仕草を一瞬みせる松岡茉優さんの演技もいいね。
ザ・松岡茉優ショー。よくここまで演じきってるなあ……!
というか、この作品は全編「ザ・松岡茉優ショー」と言ってもいい。ヨシカの脳内で繰り広げられる妄想をスクリーンに描く演技は、半分地ではないかと思うほど。
イントネーションも自然だし、若干食い気味の間の取り方もリアル。ここに違和感があると、人とうまくコミュニケーションを取れないよいうヨシカのキャラクターが描ききれない。
でも、これはヨシカだけに限らず、女の子はみんなこういう考え方を持ってるんじゃないかと思いました。とにかく、頭の中が忙しい。次々に湧き立つ妄想と、自分なりの理論武装。その理論は時に、男の理解を超えている。
「ザッツビューティフルサンデーだよぉ〜」というヨシカの言いっぷりは、アニメ「ちびまる子ちゃん」に似ていた。今や国民的アニメになったあの作品と、根底はつながっているのかも。ボクなりに思うのは、どちらも妄想少女、というところかな。
ただ、妄想の中にだけいられないのが人間社会。コミュニケーションは時に、自分の心をを深くえぐってくる。それが嫌で、周りをシャットアウトしたくなることもある。
差別的な意味なんてこれっぽっちもなくても、受け取った方がそう感じてしまえば、深く傷ついてしまう。それにいちいち傷ついていたら、コミュニケーションなんてやってられない。傷つくことが嫌なら、傷ついて強くならなければいけないという、コミュニケーションの難しさ。
ごちそうさま、のその後にある、苦い味
この作品「美味しかったな、ごちそうさま」と思った後に「さあ、お食べ!」と、ものすごい量のクセのあるものを腹の中に詰め込まれる感じ。それをガツガツ入れられる感じは「コミュニケーションって難しいなあ、というか、ヨシカ、めんどくさいなあ」というのに似てました。
女の子なら、いつか通った道なのか。あるいは、今も同じことを考えているのか。ひょっとして、過ぎ去った道なのか。どんな世代の助成も、ヨシカに共感するかもしれないな。
コメントを残す