「では、挙式の日取りの仮押さえは、6月20日から25日の間でよろしいですね?」「はい」そうかあ、あと半年かあ。いろいろ忙しくなりそうだなあ…。
ん? 待て待て、ここまで話が進んでいるのに、周りには何も言ってないのか? そこまでして結婚を秘密にする意味はあるのか? というか「はい」と答えたお前は誰だ? 日取りを6日も仮押さえができるのか? あらゆることが、おかしい。ああ! 分かった! これは夢だ!
…案の定、ふとんの中で目が覚める。ほーら、やっぱり。
「あなたが本物のオーナーなら、経営理念の五カ条が言えるはずです。それを言ってください」
なんだと! 俺、オーナーじゃないし! なりすまして、会社にもぐりこもうとしているのか? というか、目の前にいる黒スーツのお前は誰だ! なんだ、この唐突な展開は。ああ! 分かった! これは夢だ!
もう一度、ふとんの中で目が覚める。やばい、二度寝しかかってる! 起きなきゃ!
昼前に中区丸の内でCM録音をして、午後は専門学校で講義。夕方にもう一度、同じスタジオでCM録音。
夕方スタジオに行く前に、きのう預けたブルゾンを取りに行く。がんばってファスナーを直してもらったけど、結局元のようにスムーズに開け閉めできるようにはなりませんでした。お店の人が優しくて、何度もトライしてくれる。何度やっても、同じ。…あのお。トライしてくれるのはうれしいんですが、ボク、あと5分でスタジオに行かなきゃなんないんです!
ブルゾンを手に持って、栄の地下街を走りぬける。なぜか頭の中に流れたのは、山下達郎の「クリスマス・イブ」。待ち合わせに遅刻しそうなので、走ってるイメージ。ただ、明らかに違うのは、待っているのは恋人ではなく仕事だということと、走っている人が明らかにカッコよくない、ということだ。
みなさんも、だいたいこんな感じで一日が過ぎていくと思います。…ですよね?
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