ラジオ・ラヴィートでのJリーグ、名古屋グランパスの実況で、平塚競技場へ。湘南ベルマーレ対名古屋グランパスは、グランパスの優勝がかかった試合。この試合にグランパスが勝って、2位の鹿島アントラーズが引き分けるか負けると優勝が決まる。

平塚競技場は「ここは第二瑞穂陸上競技場か? あるいは、第二豊田スタジアムか?」という状況。お客さんの半分が、赤いレプリカユニフォームを着ている。開場前のゲートに並ぶグランパスサポーターをざっと数えたら…1000人はいるぞ! ホームのベルマーレは日常の空間、アウェーのグランパスは非日常の空間。

前半、ベルマーレは果敢にグランパスのゴールに襲いかかる。グランパスは落ち着いてベルマーレからボールを奪う。0対0で折り返し。グランパスは緊張していたかも。選手も、解説をお願いしているサポーターズアソシエーションの関谷さんも、そして、ひょっとしたらサポーターも。

ベルマーレの過去3戦では、後半ガタッとペースが落ちる時があるのは分かっていたので、勝負は後半だろう。そう思って実況に臨んだ後半。まだ両チームに決め手がない。そんな中に投入された杉本選手。

杉本選手が投入されてしばらくして、左サイドから大きく逆サイドに展開。右サイドに待っていたのは杉本選手。ドリブルでひとり選手を振りきって、きれいなクロスをゴール前に上げる! そして、そこに飛び込んだ玉田選手がヘディングシュートをベルマーレゴールに突き刺す! グランパス先制! そのまま試合はアディショナルタイム。

グランパスのベンチ前にロープが張られ、カメラマンが集まってきた。ベンチの選手は立ち上がってにこやかな表情をしている。そして、試合終了のホイッスルと同時にベンチから選手が飛び出す! ピッチ上の選手は一瞬戸惑う。そして、スタジアムに流れる鹿島が引き分け、のアナウンス。この時、選手も、そしてサポーターもすべてが分かった。名古屋グランパス、リーグ創設以来18年目の、初優勝!

優勝したんだ…その場所にボクがいるんだ…いいんだろうか? スポーツ専門に仕事をしているわけではないことからくる戸惑い。これはもう、どんな仕事をしていてもボクにずっとつきまとうものかもしれない。ま、それはおいといて、スタジアムでは表彰式、そして選手はゴール裏のサポーター席に向かい、いっしょに喜びを分かち合う。

帰りの新幹線のホームでは、ストイコビッチ監督やスタッフ、コーチ、選手のみなさんとすれ違った。みなさんに、特に監督に向かって「チームがひとつになる手腕、お見事です。ありがとうございました」と心の中で最敬礼。ボクはきょう、人生で最良の日なんだろう。