テッテケテッテッ、テーテーテー! 「セカイカメラー!」「セカイカメラ?」「そう、このカメラをのぞくと、過去の画像や文章、音声を見ることができるんだ」「へえ、おもしろそう!」
「例えば、こういう風景がある。
これを、セカイカメラでのぞくと…」
「あっ、何か浮かんでいるのが見える!」「だろ、これは『エアタグ』と言って、過去の画像や文章なんだ。浮かんでいるエアタグを触ってごらん」
「あっ、画像が出てきた! じゃあ、こっちのエアタグは…」
「へえ、文字も残すことができるんだ! エアタグはどこにでもあるの?」「いや、セカイカメラを持ってる人が手作業でつけるんだ。だから、たとえ賑やかな所でも誰もエアタグをつけていなければ、セカイカメラには現れない」
「それにしても、川沿いの彼岸花がキレイだなあ。見とれているうちに、だいぶ歩いちゃった」「じゃあ、セカイカメラでさっきの場所をのぞいてごらん」
「あっ、さっきのエアタグが、あんな遠くに!」「エアタグはそれを投稿した場所に残るんだ。自分が持ってるセカイカメラで、投稿された時間や距離を調節できる。最初は1週間以内に投稿された150メートル以内のエアタグを表示するようになってて、自分が見たい時間や場所に応じて設定するんだよ」
「ここにも、エアタグあるかなあ。セカイカメラでのぞいてみよう」
「あっ、あった! これ、彼岸花が咲き終わっても、ここでセカイカメラをのぞけばいつでも彼岸花を見ることができるんだ! おもしろいなあ」
「あれっ、見たことのないエアタグだ」「それは音声のエアタグ。触ってごらん」
「あっ、音声が再生された! 『ここが新美南吉の作品が生まれた場所です』って言ってるよ!」「こうやってエアタグをつけて、それを未来の人に見てもらうのが、セカイカメラなのさ」
「300メートル以内のエアタグを探すように設定したら、こんなところからもエアタグを見つけることができるんだ! おもしろい! ねえ、これ貸して!」「ダメ、君が使うとろくなことにならないから」
そして、夜。
「セカイカメラ、内緒でこっそり借りてきちゃった。あたりはもうすっかり暗くなっちゃったなあ。どれ、昼に行った所のエアタグはあるのかな…」
「当たり前だけど、エアタグが残ってる! こんなに真っ暗だけど、ここに彼岸花が咲いてるって分かるなあ」
「こらー! 勝手に使うな! セカイカメラ、返せー!」「あ、見つかった! やーだよー!」
…というやり取りがキャット型ロボットと昼寝が得意な小学生の間であってもおかしくないくらい、夢のような道具。それが、セカイカメラです。
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