ナレーションの立ち会い。ボクがしゃべるわけではなく、本当に見てるだけ。しゃべるのはこの春に専門学校を卒業する学生。機材もディレクターもプロ、しゃべり手だけが違う状況。学生にとっては、はじめて「仕事」をすることになる。

ボクはいつもは入らない調整室の方に入り、ディレクターさんと学生のやりとりをじっと見る。あちら側のブースの中ではじめてのナレーションに緊張している学生の気持ちも分かるし、こちら側にいるディレクターさんがどこを修正してほしいかということも分かる。

学校が修了して分かる、基礎の大切さ。現場、とくに人生で初めての仕事なら実力の半分も出やしない。不安で折れそうな心を支えてくれるのが、基礎をさんざんやってきた自信なんだよね。

こちらも勉強させていただきました。初めてこういう仕事をする人へのアドバイスの言葉がひとつ見つかったし。「試験で消しゴムが机から落ちて遠くに転がったときに備えて、もうひとつ消しゴムを用意しておくといいよ」みたいなものです。そう、なんかきょうは、試験会場に生徒を送り出す先生の気持ちをちょっと味わった日。