伏見ミリオン座で「ブリグズビー・ベア」を観る。ジェームスとボクは似ている。いつまでも同じものが、心の大半を占めているということに。そして、うまく次のステージに移ったジェームスと、まだ移れない感じがしているボク。
25歳のジェームスは、物心ついたときから外の世界を知らず、小さなシェルターで両親と一緒に生活してきた。毎週ポストに投函される教育ビデオ“ブリグズビー・ベア”を見て成長してきた彼は、映し出される世界の研究に没頭する。ある日、突然ジェームスは警察に保護され、衝撃的な事実を知ることになる。
80年代風番組をここまで再現したのはすごい!
平成という時代が終わる2018年に、ボクたちはなんという画質の番組を観せられるんだろう……という戸惑いが、最初にありました。
ビデオテープから再生されていることを表現するための、画質の粗さ。テープが伸びちゃっているかのような、音のよれ具合。そして、ビデオ録画が全盛だった頃に作られた番組。
43歳のボクは「懐かしい雰囲気だなあ」と思っても、20代にはとても古めかしい映像だと思うんだろうか。逆に、今まで経験したことのない映像にみえるんだろうか。
未知の世界に放り込まれ、成長する。まるで、少年時代を終わらせるように
というように「なんじゃこりゃ?」という始まり方をするんだけど、どういう状況かが徐々に分かってくる。ジェームスは、自身にとって未知の世界に突然放り込まれる。
アイデンティティも崩壊しそうな状況で、心のよりどころとなるのは、小さい頃から観ていたこの「ブリグズビー・ベア」だ。周りがどんなに排除しようとしても、彼にはそんなことはできない。
ボク、自分に置き換えて観てました。ボクにとっての「ブリグズビー・ベア」は、ラジオ。小学生の時から聞いていて、それが生業になっている。
どんなに離れようとしても、戻ってきてしまう。小さい頃の体験は、その後の成長にも影響を及ぼすのだ。
観終わって、この作品から「で、あんたはまだ、その世界にいるの?」と問いかけられた。いつまでも同じ世界にいられないし、いてはいけないのかもしれない。
少年時代に別れを告げる、区切りをつけていくことの寂しさと前向きな気持ち。ジェームスは次のステージにうまく移ることができたなと思ったよ。
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