シネマスコーレで「セデック・バレ」を観る。第一部「太陽旗」と、第二部「虹の橋」を続けて。合わせて4時間36分の映画、観終わって外に出たら、暗くてちょっと寒かった。夕方から夜にかけて天気がすっかり変わってしまったようだ。
昔から台湾の山岳地帯で生活している狩猟民族、セデック族。日本の統治下でセデック族の人々は野蛮人とさげすまれる一方、日本人化を推し進める教育などを受けることを余儀なくされた。統治開始から35年がたったある日、日本人警察官とセデック族が衝突したことをきっかけに、ついにセデック族は戦うことを決意。セデック族の頭目、モーナ(リン・チンタイ)を中心に、日本人を襲撃するが……。
台湾の山岳地帯。セデック族の襲撃により、日本人は女子どもの区別なく命を落とした。この事件に対し日本軍が報復を始めるも、険しい山中での戦いに悪戦苦闘する。一方、セデック族の女性たちは食料が不足することを案じ、集団自決するという結論に達する。やがて、武力に勝る日本軍を前にセデック族の戦士たちは後退。それでも、民族の誇りのために戦いに身を投じていく。
4時間36分通じて一番印象に残っているのが、戦闘シーン。第一部・第二部ともにあるんだけど、特に第二部はセデック族の暴れっぷりがすごい。
日本人が見ても、セデック族の行動が理解できた。なぜ日本人に敵意を持つのか、なぜセデック族は勇敢に戦うことができるのか。そして、なぜセデック族は首を狩ることができるのか。それは、その地に代々住むことで生まれた文化なのです。
日本人が入ったことで、その文化が消えようとしている。野蛮と言われても、それを捨てることは自分たちの存在を捨てることになる。自分たちが自分たちであるための闘いなんです。
でも、それを肯定しているだけではなく、セデック族の女性の視点からはそれに疑問を持つことも描かれる。それでもついて行くのは、やはり自分たちの存在が危うくなっていることをどこかで気づいていたからなのかもしれない。
一見野蛮に見える行為も、それまでのプロセスや背景を丁寧に描いています。だから、彼らにとってはその行為は正しいものだと思えるのです。第一部・第二部で映画の色合いが違っているので、人間模様を見たければ第一部だけ、激しい戦闘を見たければ第二部だけという楽しみ方もぜいたく。もちろん、両方を観るのが一番いいんですけど。
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