日本シリーズ第7戦は、楽天がリードして迎えた最後の9回を田中将大投手が投げて勝利を呼び込み、球団9年目で楽天が初の日本一になりました。田中投手は前日に先発し、160球投げています。そのピッチャーが次の日も投げるってのは今の野球では考えられないんです。でも、今年の楽天ならこれでないと一年を締めくくれないですよね。

先発、中継ぎ、抑えという分業が確立した現代の野球では、リリーフピッチャーが各チームに必ずいて、リードした状態でこのピッチャーに任せて勝つという戦いをします。田中投手は先発で起用されるので、中継ぎや抑えに登場することは普通ありえない。それでも、この試合では抑えとして最後を締めくくりました。

当然、この起用には疑問の声が出る。ボクもちょっと思いました。ましてや、田中投手の前に投げていた則本投手がいいピッチングをしているので、交代させる必要はなかったと思います。でも、最後は田中投手でなければいけなかった。

今年の楽天、リリーフエースは…?

まず、今年の楽天のボクのイメージは絶対的守護神がいなかったということ。82勝で優勝したチームなのに、抑えピッチャーの指標になるセーブ数のトップはラズナー投手の17。続く青山投手が11。そして、ふたりとも防御率は3点台。この数字も大きすぎる。

「最後はこの人に任せる」っていうものがあれば、締めくくりはその人に任せるでしょう。でも、それができるようなチーム事情ではなかった。これがひとつ目の理由。

今年の締めくくりは彼しかいない

そして、ふたつ目の理由は「今年は田中投手の年だった」ということ。なんてったって今年のレギュラーシーズン中は負け知らずの24連勝。チームの優勝に大きく貢献しました。その人が前日に投げて、負けてしまった。チャンスがあれば勝たせてやりたい、最後は彼で締めくくらせたいという気持ちが生まれてもおかしくない。

それにしても、星野監督が球審に交代を言う時の表情は、気合いが入っていたというか集中していたというか…。抗議をするような強い口調で球審になんか言ってて、最後に「とぅぁんなくぅわー!」と、アニマル浜口さんかと思うくらいの気合いの入りっぷりで叫んでました。監督もいろいろな思いがあるんだろうなあと思いました。