シネマスコーレで「野のなななのか」を観る。観るために気合い入れましたよ。昼寝までして体調を整えたのは「この空の花 ―長岡花火物語」を観た時に圧倒されたから。これは並大抵の体力では、やられてしまう!
3時間弱の上映時間、振り落とされないように必死についていきました。やっぱりこの作品にもすごいパワーがこもってる!
北海道芦別市で古物商を経営する元病院長の鈴木光男(品川徹)が、3月11日の14時46分に逝去。92年に及ぶ人生の幕を閉じる。告別式と葬儀の準備をするため、鈴木家の親族が故郷である芦別に集結。大学教授の冬樹(村田雄浩)、原発職員の春彦(松重豊)、看護師のカンナ(寺島咲)ら、光男の長男、次男の子どもたちが久々の対面を果たしていると、清水信子(常盤貴子)という女が訪ねてくる。やがて、彼女を通して1945年に起きた旧ソ連の樺太侵攻で光男が体験した出来事を彼らは知る。
序盤でまず、この世界の荒海にぽーんと投げ込まれます。ヒップホップを聞いているようなセリフのタイミング。音楽の切り替わり。死を感じずにはいられない色彩。これらがスピーカーやスクリーンから次々に現れる。それらを浴びていると大林監督のパワーを感じずにはいられない。
ストーリーも単純なものではない。2本の物語を観ているようだった。上映開始から2時間経ってもまだ現れない人物がいるんだもん。観終わった後はふらっふらになること間違いなし。1回ですべての情報を受け取ろうなんて思わないほうがいい。
でも、ふらっふらになっても監督のメッセージはジーンと残る。太平洋戦争末期と東日本大震災が同列に語られていくことで、人間の愚かさや残酷さが浮き彫りになってくる。そう、この作品は時間軸は直線ではない。まるで抽象画を観ているように、こちらの感覚をぐにゃりと曲げてくる。
観ごたえのある映像作品って、こういうものなんだろうな。情報量の多いシーンをひとつひとつ解釈していくのは楽しい。ただ、体調を万全にしていくからこそ楽しめる。睡眠不足は特に気をつけていった方がいい作品です。
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