109シネマズ名古屋で「ふしぎな岬の物語」を観る。浩司役の阿部寛さんの演技に笑った前半、後半は悦子役の吉永小百合さんの演技に恐ろしさを感じた。
海と花畑に囲まれた心休まる里、その岬の突端にあるカフェ「岬カフェ」には、店主の柏木悦子(吉永小百合)がいれるコーヒーを目当てに里の住人たちが集まってくる。店の隣に住むおいの浩司(阿部寛)は、何でも屋を営みながら悦子を献身的に見守ってきた。そんな穏やかな日々が営まれていたある日、常連客の娘で音信不通だったみどり(竹内結子)が数年ぶりに帰郷するが……。
ものすごく幸せな雰囲気が続く前半。ここに住みたい、あのカフェでコーヒー飲みたい、と本気で思った。でも、その幸せはみんな苦しいことや辛いことの上に成り立っているのだ。
それが分かるのが、悦子の身のまわりに起こるさまざまな負のできごと。それまで少しずつ積み上げてきた幸せをゼロにしてしまうようなもの。賽の河原を思わせるようなシーンは、それを象徴していたのかな。
それにしても、吉永小百合さんのたたずまいはすごかった。比較的長めのワンショットが多いんだけど、画面も成立するし、感情も伝わってくる。なんなんでしょう、あの雰囲気は。
そして、阿部寛さんが演じた浩司もよかった。自分の感情に正直なぶん、周りに迷惑をかけることもあるけど、憎めない性格。浩司を受け入れる環境からも、この街の温かさが伝わってくる。
最後まで観て、ボクは「あ、次の世代に渡していくのかな」と思いました。前の世代から次の世代へ、温かさの連鎖を続けていく。去っていく者が、残っている者に温かさを渡していく。寂しいけど、きっとそれまでの思い出が人をずっと優しくさせていくんだろうな。
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