セリフの言い回しやナレーション原稿の読み方から、フリートークの構成の仕方、はたまた人前で話すときのポイントなど、いろんな「話す」ことを教えているんですけど、きょうは専門学校の体験入学で、アフレコ体験コースの先生をしてきました。
ボクには門外不出の技法なんてものはないので、参加者に全部教えちゃいました。これさえできれば、自分のやりたいことができるという、ひとつの方法。
それは「毎日毎日、アホみたいにやる」ということ。特に基礎が固まっていない入門者は、発声練習や鼻濁音、アクセントというような基礎を徹底的にやるんです。寝ても覚めても、そればっかり。そこをクリアしたら、いろんな人の読み方を真似するんです。いろんな人を、真似するんです。気づいたら誰かの真似をしてるんだよなあ、と言うくらい。人から「あいつ、大丈夫か?」と言われるくらい。ね、簡単でしょ?
でもね、この簡単なことができないんです。まず、飽きてしまうし、そのうち生活のこと考えなきゃいけなくなるから、自分の持っている力を全部そういうことに費やすのがだんだん大変になってくる。ボクが今、こうやって生きていられるのも、高校生の時に10メートルくらい先の向かいの校舎の壁に向かってアホみたいに声出してたからです。そのあとは、いろいろ自分で工夫して「あ、こういうことか」って見つけた技術があるから、いろんな人に教えることができるんです。時間のあるときにやれたことが、本当に幸せです。
体験入学では、ボクも実際にセリフの言い回しを実演してみたり、声の出し方、ということで森本レオや児玉清のような声を披露したり、入門者なら滑舌練習で誰でもやる、おなじみの「外郎売」を早口で諳んじたり、なんてことを披露しました。参加者は驚いてましたけど、こんなのはアホみたいにやってたらできるようになります。さらに、ボクのいる世界は超人がたくさんいます。ボクなんて「この先はもっと強い奴がいるから、用心なされよお。ふぉっふぉっふぉっ…」と言って消えていく、下っ端クラスです。
とにかく、アホみたいにやって、技術を身につけてください。業界へは、専門学校や養成所の先生が導いてくれると思います。ぶっちゃけ、アホみたいにできる人はほとんどいません。だから、アホみたいにやった人が勝つんです。
「そんなアホみたいにやんなかったよ」という先輩方、またまた、そんなご謙遜を。あの日あのとき、あんなことしてらしたじゃないですか。…ほら、そうです、あのときですよ!
【写真】いつも人が多いけど、朝早いと人もいない
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