伏見ミリオン座で「ナイトクローラー」を観る。仕事で考えなければいけないのは、成果だけなのか? そして、自分はスクープという美味しい果実を前に、どこまで冷静でいられるのかを考えた。簡単に写真や動画を撮ることができる今、問題は一部の人だけに突きつけられているのではない。
人脈も学歴もないために、仕事にありつけないルイス(ジェイク・ギレンホール)。たまたま事故現場に出くわした彼は、そこで衝撃的な映像を撮ってはマスコミに売るナイトクローラーと呼ばれるパパラッチの姿を目にする。ルイスもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しては、事件現場、事故現場に駆け付ける。その後、過激さを誇る彼の映像は、高値でテレビ局に買い取られるように。やがて局の要望はエスカレートし、それに応えようとルイスもとんでもない行動を取る。
ルイスの頭の切れ具合には感服する。聞いていると確かに「お、おう…そう…だな」と思ってしまう。ただ、心のどっかに引っかかるものがある。言ってることは正しいんだけど、それってどうなの? と。
いや、人として間違っているのだ。でも、彼にとってそんなことは関係ない。仕事をする上で、目指すゴールに向かって最短距離を突っ走る。観ていて、ちょっと痛快な気分になった。けど、それよりも大きい気持ちは「それはどうなんだ…?」というもの。
仕事で最大の成果を得る、という悪魔に取り憑かれちゃった人が登場する。でも、そんな人はごく少数。人として立ち止まる人の方がはるかに多いのだ。
冷静な目で観ていれば分かることだけど、スクープを前にした時にそう思えるかどうか。写真や動画を簡単に撮ることができる今、このジレンマは報道カメラマンだけが抱える問題ではなくなってきているよね。
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