伏見ミリオン座で「暁に祈れ」を観る。言葉が分からないという不安が、終始つきまといっぱなし。

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映画『暁に祈れ』公式サイト|12月8日(土)全国ロードショー

タイでドラッグ中毒になってしまったイギリス人ボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)は、警察の家宅捜索を受けて逮捕され、刑務所に収監される。汚職、殺人、レイプが公然と行われている劣悪な刑務所で、死の危険にさらされたビリーは、所内に設立されたムエタイチームの門をたたく。懸命にムエタイを習得することで、彼はこれまでの自堕落だった自分と決別し、生きる希望を見いだす。

引用元:暁に祈れ (2017) – シネマトゥデイ

異国の地で服役するという不安を、観客も味わう

言葉の分からない異国の地で服役するという不安。それをスクリーン越しに感じられる。タイの囚人たちがしゃべっていることに、字幕はつかない。

何を言っているのか、何を求められているか分かんないんですよ。ましてや刑務所なんて、入所した時のふるまいで地位が決まっちゃうようなところもあるから、下手を打てない。

ボクサーであるムーアは、その腕っぷしがあるから、最下層には落ちることはないだろうなあ……と思うんだけど、それでも不安。その気持とずーっとつき合っていくのが、この作品。

クズだった自分がムエタイを通じてはい上がる、というストーリーですが、その環境が刑務所、しかも異国であるという過酷さ。這い上がっていかないと、この地獄の環境で自分が潰されてしまうという恐怖から懸命に逃れようとする。

ビリー・ムーア本人がみせた表情が印象的

そして、ラストシーン。現れた人物がみせる、なんともいえない表情。「いや、この表情、役柄として間違ってないんだけど、それにしてはリアルだぞ……? ここまで微妙な表情ができるなんて、うまいなあ」と思ったら、ビリー・ムーア本人!

それを知ったときに「うわー!」って思いました。当時の自分をみるような表情、そこから這い上がってきたという過去を思い出したのかもしれないな。