映画「万引き家族」を観て、頭の中にじわーっと広がってきたのは、是枝裕和監督の作品「そして父になる」の味。

上質の和食を食べたような、すっきりと、そしてしっかり記憶に残る味。「万引き家族」は、ひと口食べて「うまいっ!」と感じる、濃厚な味。例えるなら、ぎゅっと詰まった中華弁当か。

今あらためて「そして父になる」を思い返してみると、父親という家族の役割を背負うことの覚悟や戸惑いを感じるものだった。

それを福山雅治さんという「カッコいい」のアイコン、ボクはさらに浮世離れというイメージも乗っかるかも、と思っているんですが。手の届かない感じ、というか。

本来のマシャは全然、そういう感じではないってことはラジオから伝わってくる。ただ、ビジュアルとしてはそんなイメージになってしまうのかなあ、というのが、福山雅治さん。

福山雅治さんが演じたからこそ「そして父になる」のクライマックスが味わいのあるものになったし、福山雅治さんじゃない人があの役を演じていたら、どんな味になっていたんだろうと思う。ボクは「万引き家族」を観たあとに、そう思いました。

家族を作る、という戸惑い、そして、家族そのものへの問いかけ。是枝裕和監督の作品からは、人といっしょに濃密な関係を作りながら暮らしていくことって、どういうことなんだろうって考えさせられます。それは家族っていう形だけじゃないのかも、と。