TOHOシネマズ東浦で「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」を観る。この作品にニノさん、必要? と思いながら観てたけど、最後にひっくり返った。ニノさんがいなきゃ、この作品は成り立たない。
佐々木充(二宮和也)は、「最期の料理人」として顧客の「人生最後に食べたい料理」を創作して収入を得ていた。絶対味覚を持つ天才でありながらも、彼は料理への熱い思いを忘れかけていた。そんな折、彼のもとにかつて天皇陛下の料理番だった山形直太朗(西島秀俊)が作り上げたという、“大日本帝国食菜全席”のレシピを再現する仕事が舞い込む。
新参者シリーズのようなものか、と勘違いしていた
絶対味覚を持つ料理人が事件に巻き込まれるミステリー作品だと思ってた。タイトルに「麒麟」とつけばミステリー、と思い込んでいたのは「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」を観ていたからだ。
ニノさんこと二宮さんが演じる、佐々木もミステリアスでしたしね。表情を崩さないところなんて、クールに謎を追い求める雰囲気が出ているじゃないですか。
それでも、思ったんですよ。謎解きにしては、アレだなあっていうところが、しかしそれは、ボクの観方が間違っていたから、終盤の流れで納得した。アレな感じで、よかったんだ。
監督は滝田洋二郎さんだし、ね。エンドロールでそれを知って、なるほど、と。そういうのも調べておきなさいよと思うかもしれないけど、一切下調べをしないで観るからこそ、こんな感想を持つことができた、とも言えるしね。
ニノさん、いる? いや、やっぱり必要だよ、この作品に!
なんでニノさんはこんなに不機嫌なんだろう、って、ずーっと思ってた。料理に対する妥協のなさから来る、周りの人が自分の求めるレベルに達していないことによるいらだちから、なのだろうか。
そういう態度のニノさん、前半影の薄かったニノさん。なんでこの役が主人公なんだ? 山形直太朗の物語でいいじゃないか、とまで思っていた。
あ、そんな中でも、綾野剛さん演じる柳沢との絡みは、男同士の友情を感じたというか、あのふたりを観て女子は萌えたりするんだろうなと思った。前半の意外なみどころだと、ボクは思う。
それが「なぜレシピ探しをして、料理を再現してほしいのか」という真相が分かってくると、佐々木の人生を理解できた。それがあるから、ニノさんはあんな感じだったのか、とも。
ひねくれ者だから、佐々木に共感し、佐々木とともに受け入れる
料理って、ただ毎日食べるものだけではなくて、そこに込められる思いや愛情も大切だ……っていうのは、佐々木がシニカルに考えていたことだ。ボクもそうだ。そんなきれいごと……とさえ思う。
でも、やっぱり、それが真理を突いているんだよね。ボクみたいなひねくれた人間でも、最後まで観るとそう思わずにいられない。ボクは佐々木の気持ちとシンクロしていたから、やっぱりこの作品で、ニノさんは必要なポジションだったのだ。
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