「目上の人に『お疲れ様』というのは失礼」とは聞いたことがあります。じゃ、なんて言うんだ? そうだ、あの番組で言っていたのを思い出した。衝撃的だったよ!
NEWSポストセブンが「タモリ口火の『お疲れ様禁止』 『こんにちは』導入の会社も」という記事にしていました。
タモリ口火の「お疲れ様禁止」 「こんにちは」導入の会社も│NEWSポストセブン
タモリ口火の「お疲れ様禁止」 「こんにちは」導入の会社も …
きっかけは7月26日放送の『ヨルタモリ』(フジテレビ系)。タモリが、「『お疲れ様』というのは、元来、目上の者が目下の者にいう言葉。これをわかっていないんですね」と力説し、民放連(日本の民間ラジオ・テレビ業者が所属する団体)が子役に「お疲れ様」といわせないよう申し入れをすべきだとまで提言したのだ。
SWITCH Vol.33 No.5 ジャズタモリ TAMORI MY FAVORITE THINGS
本題の前に、この記事、ちょっとニュアンスが違うなあ。この回の「ヨルタモリ」は観てたけど、あくまでコントの中で言ってたんですよ。「民放連に申し入れをすべき」は、ボクはまともに受け止めなかったけどね。
あくまで「子役がハキハキと『お疲れ様でした』っ言うの、カチンとくるよね」っていうところがメインで、その流れで「本来『お疲れ様』と言うのは…」と言ったんだからね。「お疲れ様」の使い方が間違っていてけしからん、が本来のメッセージじゃない。
とは言え「お疲れ様」の使い方が間違っているのは確か。じゃ、なんて言えばいいのか。思い出したのは「タモリのジャポニカロゴス」って番組。ここで、確かクイズ形式で取り上げられた記憶があります。
ボク、一生懸命考えたもの。「えーっと、敬語表現になる? いや、謙譲語を使うのか…?」って。敬語を正しく使いたい、という思いもあって、いろいろ考えました。ところが、答えがビックリするものだったんです!
あ、ちょっと考えたいですか? じゃ、何か関係ないこと書きましょうか? いらない? 早く答えを? 分かりました。その答えなんですけどね…。
目上の人に「お疲れ様」とは言えない。じゃ、どうするか?
答えは「何も言わない」なんですよ! 黙って頭を下げる、あえて何か言うなら「…どうも」くらいが適当らしいですよ。つまり、正しい敬語は「どうも」!
ボク、衝撃的でした。「どうも」が敬語なんて思わないもの。この「タモリのジャポニカロゴス」で金田一秀穂さんが解説してたんですが、今回の「ヨルタモリ」の件でも、金田一秀穂さんがNEWSポストセブンの記事「『お疲れ様』蔓延の背景 適当な挨拶ないためと金田一秀穂氏」で解説していました。
「お疲れ様」蔓延の背景 適当な挨拶ないためと金田一秀穂氏│NEWSポストセブン
どうしてこんな現象が起きるのか。言語学者の金田一秀穂氏はこう分析する。
「お疲れ様は、いたわりの言葉。力のある者でなければいたわれないので、いわれた側は“上から目線”を感じてしまう。私も学生が授業が終わった後に、『先生、お疲れ様でした』というのには抵抗があります。ただ日本語には、会った時に目上の人に対してきちっと使える、万能の挨拶語がないんです。
だから、『いつもお世話になってます』とか『先日はありがとうございました』とか、場面によって使い分けるしかなかった。『お疲れ様です』が広がったのは、適当な挨拶が他にないというのも大きな要因でしょう」
「目上の人への挨拶語がない」ので、黙って頭を下げるしかないんです。何か言わなきゃいけないと思っても、ふさわしい言葉がないなんて、なんてことだ!
どうしよう、これ、思い出しちゃったなあ。これからどうやって、このシチュエーションを乗り切っていこうか。黙礼だけしていようか。だって、厳密に言ったら言葉がないんだもの。ま、でもきっと「お疲れ様でした」って言っちゃうんだろうな。
…しかし、コント仕立てのものを真面目に言っていると捉えられたら、フェイクとリアルの境にあるコメディはやれないよなあ。NEWSポストセブンは、せめて「架空の大学教授に扮したタモリが…」というフレーズにしてほしかった。タモリさんではなく、聖フェロノチオ大学の野々村修教授が言ったんだよね。
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