NHKのニュースを聞いて、耳がピクンとした。「ペンギンの目線で…」って言ってる。え? いいの? 「目線」って、使っていいの?
アナウンサーがしゃべったのは、こんな原稿でした。
地球温暖化が南極の生き物の生態にどのような影響を及ぼしているか、解明する手がかりにしようと、野生のペンギンの背中に小型カメラを取り付けて、その行動をペンギンの目線で撮影するという世界でも例のない調査に日本の研究チームが成功しました。
ペンギンの「目線」? たしか「目線」って言葉は映像業界の用語で一般的ではないから「視線」を使うんじゃなかったっけ? そんなこと、ボクもここに書いたことがあるけど?
そんなこと書いたのは、2005年の1月8日かあ…。8年も経ってるのか…。愛・地球博もあったなあ…。あ、ちょっと昔を懐かしんじゃった。目線ですよ、目線。
NHKはどう考えてるんだろうと、ネットで「NHK 目線」で検索したら、NHK放送文化研究所のページにヒットした。見出しが「『目線』『立ち上げる』も日常語に」ってなってる。へえ! じゃ、使ってもいいんだ!
比較的新しい表現であるとされてきた「目線」ということばについて、多くの人が違和感を覚えていない。
って書いてあるよ。それでニュースで「目線」が使われたのか。…あれ、でも、PDFの資料では
「『視線』の意味で『目線』が使われる傾向があるが,『本番』『絵』などと同様,部内用語なので,放送ではなるべく使わない。」(『NHKことばのハンドブック(第2版)』2005)。
って書いてある。うーん、でも、この調査は2008年のものだから、その3年の間にまた基準が変わってきたのかな…?
こういうふうに、放送で使われる言葉って変わっていくんですよね。日常生活で使ってはいけない、ってことじゃないけど、ボクの場合はそうはいかないんで。自分が使う時に気をつける、ってこともあるけど、後輩が使った時に指摘しなきゃいけない立場なんでね。その時に、もうOKになっている言葉を「ダメです」なんていったらカッコ悪いなあと思っているから、常に新しくなった基準を知っておきたいんです。
というか「ことばのハンドブック」って、第2版が出てたのか! この言葉を放送で使っていいのか…と迷った時のガイドブック。買わなきゃ!
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