TOHOシネマズ東浦で「若おかみは小学生!」を観る。苦さや重さがあと味に残ったのは、全体的に幸福感に包まれているからだろうな。
交通事故で両親が他界した小学6年生のおっこは、祖母が営む旅館「春の屋」に引き取られる。ライバル旅館の跡取り娘で同級生の真月や、昔から旅館に住み着いているユーレイのウリ坊たちと交流しながら、若おかみの修業に奮闘するおっこ。彼女は、失敗を重ねながらも訪れた客を懸命にもてなそうとしていた。
幸せなぶん、重さが際立つ
全体的に、すごく幸せ。序盤は、おっことその父母が幸せに過ごしているシーンが続く。だから重いんですよ、両親が亡くなったことが。
しかも、不幸なシーンは描かれない。それがまた、逆に重さが際立つ。肝心なところを描いていないんじゃなくて、そうすることで逆に怖い、というか、重さを感じるんです。
さらに、そんなふうにズシーンと来る重さが、もう一回ある。こっちがそれを受け止める体勢になっていないところに来るので、とんでもない重さに感じる。
ここまで幸せに観てたのに、もう一回来るの? というように。考えてみたら、生きていたら、不幸ってこんなふうに突然来るものだよね。
そんなのを忘れるくらい、おっこは前向き、心の傷は負っているはずなのに、それを人にみせない。
おっこが若おかみになる春の屋は、料理はおいしそうだし、温泉はよさそうだし、従業員はあったかいし、一度行ってみたいと思わせる宿だ。これも、突然やってくる重いできごとを際立たせるのに十分。
実は、観ているこちらの心を動かす細かい仕掛けがいろいろある作品でした。個人的には、おっこと同じ小学生の女の子が、いいなあ……と思うだろうシーンに「なるほど、ここは子供へのサービスなのかな」と思いました。
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