木曜日、ミッドランドスクエアシネマで「おおかみこどもの雨と雪」を観た。予告編しか観たことがない程度の知識で行ったんだけど、ビックリしましたよ。「こんな物語だったのか!」と。いい映画でした。ただ、それがもっとよく伝わるためには、ある視点が欠けていたとボクは思いました。

映画「おおかみこどもの雨と雪」

19歳の大学生花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日、一家を不幸が襲い……。

引用元:映画『おおかみこどもの雨と雪』 – シネマトゥデイ

ウェブサイトをリンクしておいてなんですが、作品についてあまり知らない方がいいかもしれないです。その方がラストで「これはこんな映画だったのか!」と気づくことができそうだから。ただ、見方を変えれば、ボクはラストまでそれが分からなかったということです。

それは「(おおかみ)こどもを育てる、母の視点」でした。ほんのワンシーンでも母親らしくふるまっている所があればよかったのに。そうすれば、子どもを育てたことのある人の心をもっと強く打つことができたんじゃないかなあ、と思います。

だって、ほとんどの親は「らしくふるまってる」ってこと、してると思うもの。ホントは叱りたくなくても、親の役割をやらなきゃいけない時って、あると思うもの。ボクは子育てをしたことはないけど、学校に行って生徒に教えるってことでも、そんな立場に自分が置かれること、あるもん。

公式サイトで監督の細田守さんのインタビューを読むと、どうやら「役割としての母親」の演技はしない方向だったようです。ボクはそれ、欲しかったなあ…。それがちょっとでもあったら、子育ての大変さが一気に具体化したと思うんだけどなあ。

花を演じた宮﨑あおいサンなら、そんなに「役割としての母親」のような演技にならないように微妙な力の入れ具合で表現してくれると思うんだけど…。あ、でも、予告編にもあった雪の出産シーン、花の表情と声が合ってなかったなあ。疲れた表情してるのに、声は普通に出てたもの。ひょっとして、アフレコするときに絵ができてなかったんじゃないかしら…と変な想像をしてしまいました。

でもね、8割くらいお客さんで埋まった劇場の中は、クライマックスですすり泣くような声も聞こえたから、きちんと伝わってるんですよ。ボクのような鈍感な男が泣くために、ちょっとだけ入れておいてほしかったなあ…。気づいた時には、ちょっと出遅れちゃってねえ…。