ミッドランドスクエアシネマで「はじまりのみち」を観てきました。21世紀にこのテンポの映画を観るとは思わなかったよ。でも、面白かったです。下手なコントよりも、間の取り方がうまい。よくあるなパターンだけど、笑っちゃう。
戦時中、監督作『陸軍』が戦意高揚映画でないと軍部からマークされてしまった木下恵介(加瀬亮)は、次回作の製作が中止となってしまう。そんな状況にうんざりした彼は松竹に辞表を出し、脳溢血で倒れた母たま(田中裕子)が治療を行っている浜松へと向かう。戦況はますます悪化し山間地へと疎開すると決めた恵介は、体の不自由な母をリヤカーに乗せ17時間に及ぶ山越えをする。
木下映画へのオマージュもあるんだろうな、と思う演出。ワンシーンを長く撮り、カメラも一台。そして、汚い…と書くと変だけど、鼻水とかよだれとか、普通こういうものは垂れ流しにしないだろうなと思うものが、そのまま。
でも、それは演技をしていることで出てくる生理的なもの。数分演じている、しかも泣いている演技で顔を拭かなければ、鼻水も出るでしょう。そういうものをあえて残しているんです。
ところどころのコミカルなシーンも、つい吹き出してしまった。やっていることはよくあるパターンなんだけど、おもしろい。これも、スバリのタイミングでセリフを言っているからこそなんでしょうね。漫才やコントを作っている人なら、この間の長さに戸惑うかも。
昔の日本映画のテンポって、こんなにゆっくりだったんだ。そして、シーンが長かったんだ。自分の間の取り方、詰め方をもう一回見なおしてみよう。
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