109シネマズ名古屋で「ダンケルク」を観る。日本料理を食べているような感じだった。

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映画『ダンケルク』オフィシャルサイト

1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。

引用元:映画『ダンケルク』 – シネマトゥデイ

これが実際の戦争なのかもしれない

いろんな戦争映画はあるけれど、この作品はまるで「これが現実ですよ」と言っているようだ。多面的に映し出すダンケルクの戦い。兵士もいれば民間人もいる。生き残る人もいれば命を落とす人もいる。

映像作品って、主人公は比較的安全だという担保がある。もちろんそうではないタイプもあるけど、主人公を中心にドラマが進むということでは、生死をかけている場面では生き残ってもらわないと困る。

この作品は主人公を明確に置いていないので、自分が肩入れしていた登場人物の未来は分からない。生き残るか命を落とすかは、ちょっとしたタイミングの違いだ。

命を落とす危機が日常にあるのが戦闘状態だ。ボクたちの生活はそのリスクがかなり少なくなっているけど、何かをきっかけにしてそんな状態になるかもしれない。

本編を通じてほぼ聞こえている音がふっと終わったとき、緊張もほぐれる。そして、窓の外に映るもので感じる、戦闘が日常にない場所の素晴らしさ。緊張状態でいる人間にはどれだけのストレスがかかっていることか。

作品としての味つけが、日本料理に似ている

この作品、日本料理に通ずるものがあると思った。ボクは日本料理を素材の味や食感を生かしながら味つけをしていくものだと思っている。味つけは決して素材が持っているものより前に出てこない。調和、という言葉が似合うものだ。

この作品では、ダンケルクの戦いが素材で、撮影技法が味つけ。味つけが濃すぎるとエンタテインメント性が強くなる。クリストファー・ノーラン監督ならではの技法で、濃くはないけどしっかり味のあるものになっていた。