イオンシネマ名古屋茶屋で「岬の兄妹」を観る。生きようとすることは立派だ。でも手段が……。これでいいのか、よくないのか、ずっともやもやしっぱなしだった。
港町に暮らす良夫(松浦祐也)はある晩、自閉症の妹の真理子(和田光沙)が、男に体を許して金銭を受け取ったことを知る。そのころ、良夫が勤める造船所でリストラがあり、良夫は足が不自由であることを理由に辞めさせられてしまう。困窮した良夫は妹の売春のあっせんを始めるが、次第に妹の喜びや悲しみを知り困惑する。さらに売春のことを知った友人が、良夫に忠告しに家にやって来る。
あらすじを載せてしまっていて言うのもなんだけど、この作品、何も知らないで観た方がインパクトが強い。ボクはそうやって観たのでビックリした。兄さん、妹に何をさせるんだ! と。
兄さん、働けよ、って思ったんだけど、働いても生活が楽にならないことからの怒りや諦めのようなものがあったのかもしれないな。家に帰ったら帰ったで妹の心配をしなきゃいけないから、心が休まる時がないんだもの。
あと、自活しなければ、って思いもどこかにあったのかもしれない。だからあまり、公的なものには頼りたくなかったのかも。それを示しているかのように、窓に貼ったダンボールをはがすシーンがなんて生き生きとみえたことか!
生きていくために選んだこのやり方を肯定してはいけないんだけど、懸命に生きようとしている姿は完全に否定できない。兄さんはともかく、妹は間違いなく、人から必要とされていることについて生きがいを感じているようだ。
そして、妹が女として成長したという印象を受けたラストシーン……。それがいいことだったのか、そのままの方がよかったのか、どっちなんだろうか。
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